ヒップの近道。

石井 陽介
2025.03.28

フイナム編集長の石井です。振り返るとこの3月はボブ・ディラン漬けの日々でした。若かりし頃のディランを描いた伝記映画『名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN』にはじまり、キャット・パワーによる『The 1966 Royal Albert Hall Concert』の再現ライブでは、かの伝説を追体験。spotifyは延々に過去のカタログを垂れ流し。令和になったいまも、彼にまつわるコンテンツをありがたく摂取し続けています。

ボブ・ディランは私が考えうる最高のヒップスターのひとりです。彼のキャリアや功績については散々語り尽くされているので控えますが、ヒップスターの定義が“本当のフィーリングを持った者”とするならば、彼ほどのはまり役は他になかなかいないでしょう。

たまに「ヒップって何?」と聞かれることがあります。確かに “ヒップ”という抽象的な概念は、理解するのも伝えるのも難しい。ですが、何かひとつターゲットを定めてそこから紐解いていけば、なんとなく“ヒップ”のかたちが見えてくる。つまりは、ボブ・ディランの哲学や感性に触れることはヒップへの近道なのでは、と思うのです。

5月にはボブ・ディランに多大な影響を与えたミュージシャンである、レッド・ベリーの真実に迫ったドキュメタリー映画『ロックの礎を築いた男 レッド・ベリー ビートルズとボブ・ディランの原点』の日本公開が控えています。きっとここにも、ヒップのヒントが隠されているはず。

余談ですが、高校生の頃からいまに至るまで“ボブ”というあだ名で呼ばれています。当然ながらボブ・ディランとは一切関係ありません。名付け親の友人に由来を聞いたところ「ボブっぽいから」。ってどういう意味やねん。ヒップ研究はまだまだ続きます。

石井 陽介/
フイナム編集長
2017年にライノに入社。ウェブマガジン『フイナム』にてファッション、カルチャーを中心とした記事制作を担当し、2023年よりフイナム編集長に。現在はコンテンツ制作にとどまらず、編集経験で培った知見を活かしたものづくりやブランディング、イベント企画なども積極的に行う。
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